風と共に去りぬ,Tomorrow is another day(明日は明日の風が吹く)
タイトル:風と共に去りぬ(Gone with the Wind)
出演:ビビアン・リー、クラーク・ゲーブル、レスリー・ハワード、オリビア・デ・ハビランド、トーマス・ミッチェル
監督:ヴィクター・フレミング
脚本:シドニー・ハワード
原作:マーガレット・ミッチェル
公開日:2014年08月08日(米国)
詳しい内容はあちこちに書かれているので超簡単に要約します。
南北戦争前中後(1860年代)の南部の人が中心のお話です。主な登場人物は次のとおりです。
スカーレット・オハラ…当作品のヒロイン。裕福な家のお嬢さんで超自信家で欲しいものはどんなことをしてでも手に入れたい肉食系。
すでに結婚が決まっているアシュレー・ウィルクスに恋し、なんとか振り向かせようとする。
映画では、美人の(私はそうは思わないが)ビビアン・リーが演じていますが、原作には「スカーレット・オハラは美人ではなかった」と書かれているそうです。
まぁ、美人かどうかなんてことは主観的なものなのでなんとも言えませんが…。
レット・バトラー…商売上手で金持ちだが、素行が悪く嫌われ者。スカーレットに熱烈にアプローチするもなかなかスカーレットは振り向かない。
アシュレー・ウィルクス…超真面目な南部紳士。メラニーと結婚する。
メラニー・ハミルトン…真面目そうな淑女。アシュレーはメラニーを自分がいなければ生きていけないか弱い女性と思っているが実は…。
上記4人が主要な登場人物で、その中でもヒロインのスカーレット・オハラが南北戦争中および戦後を数々の試練を乗り越えて強く生きていく物語です。
スカーレット・オハラがしたこと(略奪婚や使用人虐待など多数)を考えるともっと憎まれて然るべき存在ですが、あまりそちらには焦点は当てられていません。
北部の兵士が金品目的で家に侵入してきた時、勇敢に撃退(撃ち殺す)したり過酷な税金を課せられてタラの土地が没収されそうになっても商才を発揮して乗り切ったりする強さの方に共感が集まっています。
2019/01のNHKの「
」で取り上げられていたので再度見ました。『風と共に去りぬ』も翻訳した翻訳家の鴻巣友季子さんが解説していましたが、とても分かりやすかったです。見逃した方はテキストだけでもよくまとまっていて参考になります。
できれば小説を読んだほうが良いのでしょうが、『100分de名著』を読むだけでも映画だけではわからないことがいろいろわかります。
私もそうでしたがたいていの方は一度映画を見たくらいでは、スカーレット・オハラとレット・バトラーくらいしか印象に残っていないのではないかと思います。鴻巣友季子さんによるとこの小説(映画)はスカーレットとメラニーのダブルヒロインの物語だと言っています。
メラニーはおとなしいので目立たない存在ですがある意味スカーレットよりも強い女性かもしれません。
並の人間であれば、友人(スカーレット)が自分の旦那にちょっかいを出しているのに気づいても平然としているのは困難でしょう。
(気づいていたということは映画の中でも小説でも触れられてはいないようですが、普通に考えたら知らないわけがないでしょう。)
しかもただ、泰然としているばかりでなくスカーレットに優しく接します。このあたりは、鴻巣さんに指摘されるまで気づきませんでした。
もう一度見る機会があったらメラニーに焦点を当てて見てみると面白いと思います。
気になった英語表現
映画の最後の最後にレットに離婚を告げられ途方に暮れたスカーレットが言った言葉。
I think it tomorrow.
それ(どうするか)を明日考えよう。
Tomorrow is another day.
「明日は明日の風が吹く」などと訳されます。
こちらの英文には「風(wind)」という単語はありませんが、タイトル「風と共に去りぬ(Gone with the Wind)」と重なるのは奇遇ですね。
2019/01/29追記
「100de名著」の最終回を見て知りましたが翻訳家の鴻巣友季子さんは「あしたは今日とは別の日だから」と訳しているようです。意外とひねりがないですね。また、鴻巣氏が高校生に翻訳を教えていた時の生徒さんの翻訳として「とりあえず寝よう」という訳を紹介していました。
確かにこのときのスカーレットの気持ちを的確に言い表した名訳ですね。
このスカーレットを途方に暮れさせたレットのセリフににちょっとした逸話があるのでご紹介しておきます。
レット・バトラーに離婚を切り出された時「私はどうすればいいの?」とスカーレットがレット・バトラーに尋ねたときのレットのセリフは「Frankly,my dear,I don't give a damn」でした。
意味は「正直言って、俺の知ったことじゃない」ですが、"frankly"を付けることにより無関心さが強調されています。これは原作にはなかったそうです。
また「damn」は当初映倫から不適切な言葉として削除要請がありましたが、制作会社のセルズニックはこの映画の成否を決める重要なセリフとして断固譲らなかったそうです。ついには映倫が折れて5万ドルの罰金で放映を認めました。
金を払えば認めるというのは倫理に反するように思いますが、現実はそんなものですね。
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本ページの情報は2019/05/12時点のものです。最新の配信状況は U-NEXTサイトにてご確認ください。